紙の概要

広義の紙は、直径100マイクロメートル以下の細長い繊維状であれば、鉱物、金属、動物由来の物質、または合成樹脂など、ほぼあらゆる種類の原料を用いて作ることができる[3]。例えば、不織布は紙の一種として分類されることもある。しかし一般には、紙は植物繊維を原料にしているものを指す[3]。製法も、水に分散させてから簀の子や網の上に広げ脱水・乾燥工程を経て作られるものもあれば、水を使用しない乾式で製造したものも含まれる。 紙の用途は様々で、原初の紙は単純に包むための包装用に使われた[4]。やがて筆記可能な紙が開発され、パピルスや羊皮紙またはシュロ・木簡・貝葉などに取って代わり情報の記録・伝達を担う媒体として重宝された[4]。 やがて製法に工夫がこらされ、日本では和紙の技術確立とともに発展し、江戸時代には襖や和傘、提灯・扇子など建築・工芸材料にも用途を広げた[5]。西洋では工業的な量産化検討が深耕され、木材から直接原料を得てパルプを製造する技術が確立された[4]。 19世紀に入るとイギリスでフルート(段)をつけた紙が販売され、瓶やガラス製品の包装用途を通じて段ボールが開発された。さらにクラフト紙袋など高機能化が施され、包装用としての分野を広げ現在に至る[6]。

和紙の特長は洋紙に比べて格段に繊維が長いため、薄くとも強靭で寿命が比較的長く、独特の風合いをもつ。木材パルプから生産される現在の洋紙と比較すると原料が限られ生産性が低いために価格が高い。伝統的には独特な流し漉き技術を用いるが、現代の和紙は需要の多い障子紙や半紙を中心に、大量生産が可能な機械漉きの紙が多い(伝統的な製法と異なる機械漉きの紙を和紙と認めない人もいる)。 和紙は世界中の文化財の修復に使われる一方、1000年以上もの優れた保存性と、強靱で柔らかな特性を利用して、日本画用紙、木版画用紙等々、独特の用途を確立している。また、日本の紙幣の素材として用いられる。一部工芸品の材料・家具の部材・紙塩など一部の用途にも使用され、江戸時代には日本中で大量に生産され、建具の他に着物や寝具にも使用されていた。 近年は天然自然の素材として、インテリア向けの需要も高まっており、卒業証書をはじめ、様々な習い事のお免状用紙などは越前和紙の透かし入りの鳥の子、局紙、もしくは檀紙などが現在も試用されている。近年では、敬宮愛子内親王や悠仁親王の命名の儀に古式にならい、越前檀紙が使用されて話題になった。 和紙の産地は全国に点在しているが、代表的な産地として「越前和紙(えちぜんわし)」「美濃紙(みのがみ)」「土佐和紙(とさわし)」があり、3大和紙産地と呼ばれている。

紙の原料は、現在の洋紙では木材と古紙がほとんどを占める。木材が紙の原料となったのは19世紀後半からで、それより前は非木材植物原料が主流だった。また、近年では製紙による森林伐採を抑制する観点から、ケナフなどの非木材植物が注目される場合もある。 紙の原料である植物繊維は、セルロースが主成分である。セルロースをさらに細分するとセルロース・ヘミセルロース・リグニンの分けられ、セルロースが骨格を、ヘミセルロースが接続を、リグニンが空隙充填を担う[3]。セルロースは、水素結合によって結びつく性質がある。紙を構成する植物繊維がくっつき合うのは、主にこうした水素結合のためである。一方、水素結合は水が入るとすぐ切れるため、防水加工していない紙は水濡れに弱い。

紙技術

紙の原料として使われた非木材植物には、次のものがある。いずれも、安定供給や品質の面から木材の代替にはならないとされており、現在では特別な用途で使われている。